研究紹介:瀧 雅人 特任准教授

専任教員紹介

2020/07/15

教員

(1)科学と深層学習:応用研究

近年の深層学習の著しい進展は、その産業応用だけではなく、科学研究のための新しい手段も生み出しています。このような基礎研究に対する応用研究が私の研究テーマの一つの柱です。

そのような応用の一つとして、医療関係の研究者たちと共に医療データに対する深層学習の応用研究を行っています。例えば同じ画像処理といえども、産業的な応用と医療応用ではデータの質・サイズから求められるタスクの比重まで、いろいろな観点で違いがあります。医療にカスタマイズされたモデルやプロトコルの整備に寄与できるよう、医療応用研究を現在遂行しています。

また現在、いくつかの実験物理学者のチームと共に、物理研究における探索的データ解析のために深層学習を応用する研究を進めています。このような研究を通じて、自然科学における深層学習の応用の枠組みを広げることを目標にしています。

(2)深層学習の基礎研究

現在の深層学習は性能の面では十分満足のいくものとなってきました。そのため深層学習はすでに様々なシステムなどに実装され、日常生活の中でも利用されはじめています。ところがその実務的な有用性とは裏腹に、なぜ深層学習がうまくいくのかについては、我々は未だに理論的に理解できていません。その原理的な理解の欠如と関連して、深層学習が抱えるいくつかの深刻な問題点も明らかになってきました。これらの問題を基礎研究の観点から調べるのがもう一つの研究課題です。

2014年頃から深刻に認識されるようになった敵対的事例という現象はその典型例です。人間には認識不能なほど微小な加工を入力データに対して加えるだけで、深層学習の動作を大きく狂わせることができる、というのが敵対的事例の問題です。この深層学習に対するある種の「ハッキング」は、すでに様々なアルゴリズムで容易に可能であることが明らかになっており、それらを完全に防ぐ方法は未だに見つかっていません。この最先端の機械学習システムの抱える深刻なセキュリティーホールを塞ごうと、現在も世界中で活発な研究がなされています。私の研究チームでも現在、新しい攻撃アルゴリズムの開発や、防御アルゴリズムの研究を行っています。

敵対的事例の問題を脇に置くと、深層学習の推論能力は極めて高いものです。例えば猫の写真を入力された深層学習は、この写真は猫であると高い精度で識別します。しかし、どのようなプロセスを経てなぜ猫と識別したのかは一般には判然としません。この深層学習の推論プロセスの解釈性の低さの問題を解消するのがもう一つの現在のテーマです。画像タスクを中心に、深層学習の解釈性を上げるための研究を行っています。

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