研究紹介:村上祐子 教授

専任教員紹介

2020/07/15

教員

まっとうな人間として良き社会を作るために、人工知能および関連する科学技術をどのように使うか、自ら考える力を持つ修了生育成に貢献したい。現在の人工知能には何ができて何ができないのか、そのうちできないことについては原理的にできないことと今後できる可能性があることに分けた上で、人工知能にできることで人間・社会・世界にとってよいもの・悪いものはどのようなものなのか、その判定基準を考察するとともに理論的裏付けをおこなっていきたい。

研究は、数理論理学、論理体系と言語哲学・数学・論理学の哲学への応用、情報教育と情報倫理の分野におおまかにわけられる。

研究の中心は一貫して、通常の論理演算子(かつ・または・ならば・でない)に加えて様相演算子を持つ論理(様相論理)の一般的モデルを拡張し、非標準的真理条件をもつ様相演算子の公理化可能性に研究の焦点を当てている。
ここで開発した論理体系の哲学的応用として、行為・義務・質疑応答など言語哲学を通して分析されている概念の論理的性質の研究を進め、ゲーム理論における知識・行為選択の論理的性質として形式化して定理へのフィードバックを狙っている。現在はエージェント概念の論理的再構成をこころみている。
また、異なる知識集合を持つエージェントのコミュニケーションとして異分野融合プロジェクトの数理モデルに取り組んでいる。

通常の情報倫理や知的財産権に関する知識のみならず、データサイエンスでとりわけ重要になる倫理的特性にも着目する必要がある。「データを取る」ということは、物事の特定の側面を切り出して抽象することだ。このプロセスには必然的に捨象が伴う。したがって、取るべきデータ項目の選択そのものに政治的・社会的立場が反映されることがある。システム設計にも同様に価値観を固定する機能がある。これらの社会的含意を明示化して意識する態度があってはじめて、倫理的利用が可能である。

共著に「科学技術をよく考える:クリティカルシンキング練習帳」(名古屋大学出版会)、「情報倫理入門」(アイ・ケイ・コーポレーション)などがある。また、共訳に「ロジカル・ディレンマ」(新曜社)、「エニグマ アラン・チューリング伝 下」(勁草書房)、「スマリヤン 数理論理学 述語論理と完全性定理」(丸善出版)などがある。

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