科目紹介研究科の概要

機械学習やディープラーニングなど、人工知能・データサイエンス分野の「知の体系」を修得する科目を設置しています。

基幹科目

データサイエンス概論
データサイエンス分野の全貌を俯瞰的にとらえる視点を養う。蓄積されるソーシャルデジタルデータや科学データが指数的に増大する現在、様々な分野で高度なデータサイエンスの手法の習得が重要になってきている。本授業では、専門的な学習への橋渡しとすることを目的として、データサイエンス技術が、自然科学・社会科学やビジネスにおいてどのように活用されているのか実例を挙げて紹介し、そこで用いられている数理・統計・計算技術について簡潔に説明する。講義形式だけでなく、データサイエンスの実践も経験するために、配布コードを実際に使用するハンズオン形式を交えて授業を進める。
機械学習
機械学習は統計学・数理的にデザインされたアルゴリズムに基づくデータ分析手法である。適切なデータ分析のためには正しい理論的理解を欠かすことはできない。本授業で代表的なモデルを軸に、各アルゴリズムを実装に直結する形で詳細かつ簡潔に解説する。回帰モデルの勾配降下法から始めて、正則化と汎化、検証とテスト、分類アルゴリズムといった機械学習の基礎を学ぶ。その後、ニューラルネットワークによる表現学習、クラスタリング、多様体学習、確率モデル、アンサンブル学習を学び、機械学習アルゴリズムを一通り理解する。
人工知能概論
20世紀中頃にスタートした人工知能の研究は、近年、飛躍的な発展を遂げている。本授業ではこれまでの歴史的な流れを概観し、現在の人工知能研究が置かれた歴史的な位置付けを理解する。過去に研究者たちが考えてきたAI研究の動機やAIにまつわる問題意識を理解することで、現在のAI技術を俯瞰的に捉える。その上で、 AlphaGoのような現時点でのAI技術の到達点を解説する。本授業の後半では、AI の社会実装に注目し、日常生活にも普及しはじめているAI技術について紹介する。例えば Amazon Goのような小売業の革新、スマートスピーカーによる対話型AIサービス、iPhoneの顔認証技術といった最近の話題を、AI技術の観点から紹介する。
深層学習
深層学習は単にニューラルネットワークを多層化するだけではなく、過去20年間に蓄積された研究結果を駆使して初めて実現される。まずニューラルネットワークの基礎を概観し、その上で深層学習特有の技術や理論、モデルデザイン手法を解説する。実装に直結するように、各モデルをデータテンソルへの数学的操作としての構造が明示的にわかる形での理解を重視する。また、多層化が重要である理論的な理由など、数学的な背景も議論する。ニューラルネットワークと逆伝播を解説したのち、深層学習特有の技術(初期化、正則化など)、そして畳み込みニューラルネットとモデルデザインについて解説する。発展的話題として、敵対的生成ネットワークや再帰的ニューラルネットなども取り扱う。
先端科学技術の倫理
本授業では、AIを切り口に、先端技術が社会にもたらす道徳的問題の光と影を追う。AIの倫理的問題には先端技術に共通する課題とAI特有の問題とが存在する。特に前者については、他の技術に関して既に発生している問題がAIに関しても次々に現実のものとなっている。本授業では、既存の先端技術における問題の発生要因をケーススタディで学んでいくことで、AIに関して今後発生する可能性がある問題を議論する。ケーススタディとして、例えば、遺伝子レベルで疾病リスクを見積もるシステムを保険システムに組み込む例をとりあげる。健康意識が高いがゆえに受けた遺伝子検査で疾病罹患リスクが高いことがわかって保険料が高額となってしまえば、遺伝子検査を受けるメリットはなくなる。AIによる診断技術はこの既存の問題をさらに先鋭化するものとなる。今後、AIを社会に普及させるにあたって、道徳的問題の発生が予想されるが、本授業を通してその解決策が一筋縄ではいかないことを理解する。
統計モデリング I
自然現象や社会現象をモデル化する上で、不確実性を定量的に理解することが不可欠である。本授業では、不確実性を伴う現象を表現するために、確率・統計の考え方を身につけることを目標とする。従来の頻度主義の考え方とベイズ主義の考え方を対比させながら、ベイズの定理や最尤法などの重要な考え方を身につける。モデルフィッティングに広く用いられる最小二乗法やカイ二乗法を学ぶ。基礎理論に加えて、マルコフ連鎖モンテカルロ法などの実用的なアルゴリズムも学習し、先端的研究における実装への橋渡しとする。
複雑ネットワーク科学
人間関係のネットワーク、鉄道のネットワーク、電力送電網のネットワーク、企業間の取引ネットワーク、国家間の貿易ネットワーク、銘柄間の株価の相関ネットワーク、タンパク質間の相互作用ネットワークなど、現実世界には様々なネットワークが存在し、これらには共通した数理構造が観測される。一般に、要素と要素の間の関係性はネットワークとして抽象化して表現できる。本授業では、現実世界のネットワークを分析する上で必要となる複雑ネットワーク科学の概念を修得することを目標とする。複雑なネットワーク構造を定量化するために、隣接行列や隣接リストによって数学的に表現し、平均経路長、クラスター係数、次数分布、次数相関といったネットワーク特徴量を導入する。ランダムネットワーク、スモールワールドネットワーク、スケールフリーネットワークにおけるネットワーク特徴量の性質を議論する。授業の後半では、有向ネットワーク、重み付きネットワーク、多重ネットワークなど、より複雑なネットワークの特徴量も紹介する。ネットワーク上のランダムウォークを考えることで頂点の重要度を固有ベクトルとして測るページランクアルゴリズムなどを説明する。最後に、ネットワーク上のパーコレーションを導入することで、ランダム攻撃や選択的攻撃に対するネットワークの頑強・脆弱性を相転移の観点から議論する。

基礎科目

情報科学概論
人工知能やデータサイエンスは情報科学を基礎とする分野である。本授業では情報科学の分野を概観し、背景となる考え方を身につける。授業の前半では、知識や情報を表現し、情報の不確実さや効率性を定量化するための数学的な手法を理論的な観点から学ぶ。情報の理論として、確率と情報量、情報のエントロピー、カルバック・ライブラー情報量、相互情報量、符号理論などを学習する。授業の後半では、実装に直接的に関係する話題を扱う。情報処理を実現するための計算機の仕組みや、計算機上で表現されたデータ・アルゴリズムなどの性能などを定量化するための技術を学習する。
数理科学概論
機械学習において用いられているさまざまな数理的手法について学ぶ。具体的な例に関する計算機実験をデモンストレーションし、実践的な理解につなげる。機械学習の数理的側面を深く理解することを目的として、次のようなトピックについて講義する。
  • 微分法とその計算機実装
  • 行列代数とその微分法
  • 線形最適化と双対問題
  • 最小化問題と微分法・変分法 ・制約問題とラグランジュ未定乗数法
  • 非線形最適化問題
  • 数値計算の基礎
  • 確率論と乱数
社会情報科学概論
統計、数理、機械学習を用いて社会・経済ビッグデータを実証科学の視点から分析する手法について、基本的な概念から実践的な応用までを学ぶ。時系列解析や有意性検定の統計手法、社会・経済物理学の概念や解析手法、機械学習やテキスト解析の社会・経済ビッグデータへの適用法を修得する。具体的実例を通じて直感的に理解しながら、実データに対してどのような手法で分析し、分析結果をどのように利用・解釈すれば良いのかを考えるための基礎を身につける。

最初に統計手法の基礎として、データ分析に用いる統計的有意性の検定、統計的誤差、ランダム化テスト、そして順位相関や連検定などのノンパラメトリック検定を学習する。ガウス分布を仮定する統計手法が通用しない現象として、多くの社会・経済現象で普遍的に観測されるベキ分布について説明し、最尤法によるベキ指数の推定手法、コルモゴロフ・スミルノフ検定による分布の検定手法を紹介する。ベキ分布は特徴的なスケールが存在しない分布であり、自己相似性を有しており、フラクタルな構造を表現していることを理解する。ベキ分布を生成する数理モデルとして、自発的に不安定な臨界状態に至る自己組織化臨界現象を紹介し、確率過程としてサンクト・ペテルブルグのパラドックスとランダム乗算過程を説明する。次に時系列解析について学ぶ。基礎的事項として、自己相関、パワースペクトル、ランダムウォーク、自己回帰モデル、定常性、ハースト指数などを学習した後、発展的トピックとして、金融市場の価格変動時系列にみられる異常拡散や長期記憶などを解説する。さらに、非線形な相関をもつ時系列を決定論の観点から分析する非線形時系列解析について紹介する。最後に、k-近傍法、ランダムフォレスト、非負値行列因子分解、変化点検知などの機械学習の手法や共起、類似度、トピックモデル、潜在的ディリクレ配分法などのテキスト解析の手法を社会・経済ビッグデータに適用した事例を紹介する。
意思決定の科学
コンピュータを中心とする先端的な技術がさまざまな場面でビジネスに関与するようになってきた時代背景をもとに、ビジネスとモデルや技術の関係を理解し、意思決定に役立てるための方法論を学ぶ。ビジネスの対象が、生産した「モノ」から、人間の関与が深いサービスという「コト」に変化しつつある現状を取り扱う。その中で、サービス提供者や生産者としての意思決定、消費者や生活者としての意思決定、経営者としての意思決定というそれぞれ異なる立場での決定を俯瞰し、ビジネスモデル・社会モデルとの関係を解説する。
計算機科学概論
人工知能技術の応用やデータサイエンスでは、計算機の性質を正しく理解することで、効率的な実装やデータ処理を行うことができる。本授業では、CPU・GPU やメモリといったコンピュータハードウェアの仕組み、その上で動作するソフトウェアの性質、別のハードウェアとの通信手段であるネットワークなどの基礎を学び、実用の観点から計算機科学の分野を概観する。授業の後半では、GPU を用いた並列計算やネットワーク上での分散コンピューティングの基礎について学習する。そして最近の話題として、スーパーコンピュータ・量子コンピュータ・クラウドコンピューティングなどの話題にも触れ、必要としているコンピューティング・タスクに対して、どのような最新技術が最適かを判断できる力を養う。
人工知能の哲学
人工知能とはそもそも何か。それを考える上で、知性とはなにか、明らかにしなければならない。特に、人間が考えるということは一体何を意味しているのか。考えているのは人間だけなのか?人間であれば誰もがいつでも考えているのか?機械は考えられるのか?あるいは機械が考えるとはどういう条件を満たしたときに主張することができるのか?本授業では、知識・理解、また判断・責任といった哲学的基本概念について、AIを切り口に根本から検討を進める。

応用科目

AIビジネス特論
あらたなサービス・あらたな道具がAIを用いて次々と開発されている。その中で、成功するサービスもあれば失敗するサービスもある。どのような場面でサービスを考え、それとテクノロジーを結びつけるのか、また逆にテクノロジーが関与する場合にどのようなサービスなら顧客層を獲得できるのかを、具体事例を列挙しながら、受講者とともに調査し、考察する。本授業は、講義形式ではなく、討論や調査をその場で受講者と共同で実施する形式を取る。
自然言語処理特論
本授業では、テキストデータに対する機械学習を中心に据えて自然言語処理を学習する。はじめに形態素解析や句構造文法に基づく構文解析、言語モデルなどの自然言語処理理論を紹介し、その技術を応用したテキストマイニングを学ぶ。その上で、深層学習に基づく現代的な自然言語処理へ話題を移す。取り扱う内容はword2vecなどの分散表現、再帰的ニューラルネット、符号・復号化器モデルとアテンション機構など、機械翻訳・対話機械の最先端である。時系列データ固有の問題を処理するための、実装上のさまざまな工夫についても紹介する。実践的な学習とするため、講義形式に加えて、具体的な実例を用いた演習を授業に組み込む。
人工知能社会実装
本授業では人工知能技術の社会実装の実例をオムニバス形式で学ぶ。人工知能技術はすでに社会実装が急速に進みつつあり、産業・ビジネスのあり方だけでなく我々の生活空間にも影響を与え始めている。このオムニバス形式の授業では、様々な実例を通じてAI技術の社会応用をマネジメントする能力を身につけるため、次のようなトピックを学習する。 (オムニバス方式/全14回)

(内山 泰伸)
  • リテールへのAI導入の実践例
  • 農業分野でのデータ駆動マーケティング
  • 工業分野でのAI導入による品質管理

(兼任教員(担当者未定))
  • フィンテックでの活用
  • 観光産業でのデータ駆動マーケティング
  • スポーツ科学への導入
  • リテールのAI化
  • ゲームAIの研究を通じたAIの実世界適応へ向けた研究
認識技術特論
本授業では、深層学習による先端的な画像処理技術の習得を目標として、画像処理ライブラリを用いた画像データの取り扱いや、特徴量工学に基づくコンピュータビジョンを学ぶ。画像処理ライブラリOpenCV、PILを用いた画像データの取り扱いを紹介したのち、局所記述子やBoVWを使ったコンピュータビジョンの基礎を学ぶ。その後、深層学習による先端的な画像処理技術を学習する。はじめに畳み込みニューラルネットと、色々なSoTA級モデルのネットワークデザインを学ぶ。その応用として超解像、物体検出、セグメンテーション、GANによる画像生成・画像翻訳を扱う。その理解をもとにニューラル画風変換のような深層学習による画像処理技術を紹介する。日進月歩の分野であるため、紹介する最先端の画像処理技術は毎年最新のものへの更新を予定している。
脳神経科学特論
本授業では、人工ニューラルネット研究の基礎をなす教養として、そして新しい機械学習アルゴリズムのアイデアの源泉として、オムニバス形式で神経科学のさまざまな話題について学ぶ。脳・神経科学の広範な話題について、最新の知見も交えながらの専門家による解説で次のようなトピックを学習する。 (オムニバス方式/全14回)

(兼任教員(担当者未定))
  • 学習とシナプス可塑性
  • 視覚野とCNN
  • 海馬と記憶
  • ドーパミン系と強化学習
  • 神経心理学
  • ブレイン・マシン・インターフェース
  • 脳情報デコーディング ・スパイキングニューラルネットとニューロモーフィックチップ
統計モデリングⅡ
本授業では、統計モデリング I で学習したベイズ統計の考え方を基礎として、実社会の理想的でないデータを適切に扱う力を養うことを目標とする。ガウス分布以外のデータの表現方法や、データを表現するためのモデルの選択手法を理解する。そして識別関数・識別モデル・生成モデルといった統計的手法により得られた結果に基づく意志決定の理論やベイズ決定理論について学ぶ。これに加え、不完全データに対するEMアルゴリズムと、その変分ベイズ版などの近似法などを学習する。統計的モデル化の幅広い実践的な手法を身につけるため、講義形式に加えて、自然科学・社会科学の幅広い分野での具体的な実例を用いた演習を授業に組み込む。
量子情報特論
量子情報理論とは、イオントラップや光学系など量子力学的な振る舞いをする物理系を用いて情報処理を行うための理論であり、近年盛んに研究されている。本授業では、量子力学の知識を仮定せずに、量子情報理論を概観する。最初に粒子と波動の二重性や不確定性、エンタングルメントなどの量子論の基礎的な概念を学習したあと、量子ビット、量子ゲートなどの量子計算の構成要素とその原理について学ぶ。授業の後半では、量子テレポーテーションやショアの素因数分解のアルゴリズムなど、量子計算機に特有な各種アルゴリズムを、古典計算機におけるアルゴリズムと対比しながら学ぶ。最後に量子通信、量子誤り訂正、量子暗号の理論などのトピックにも触れ、量子情報に関する幅広い知識を身につけることを目指す。

演習・ 実習科目

Pythonプログラミング
データサイエンス分野で現在、広く利用されているオブジェクト指向スクリプト言語 Python を習得し、データサイエンスの基本素養としてのプログラミング力を身につけることを目標とする。自然科学分野および社会科学分野におけるデータサイエンス・ビッグデータ解析、そして人工知能関連技術での Python の活用を念頭においた授業として、科学技術ライブラリを利用できるような知識を身につける。講義形式の授業に、授業中にプログラミングを実際に実習するハンズオン形式を組み合わせる。1年次春学期科目として同時並行で進む授業科目「機械学習」と連携し、実践的な内容を重視したものにする。
機械学習演習Ⅰ
講義科目「機械学習」に対応する必修の演習科目であり、ライブラリを使いこなすことで効率よく機械学習を行う技能を身につける。 使用するライブラリは scikit-learn を採用する。幅広い分野における機械学習を用いたデータサイエンスの実践を経験し、次のような自然科学・社会科学・社会実装の具体的な事例における機械学習活用の感覚を身につける。

  • 回帰とパターン認識
  • 過学習と汎化:データ分析が失敗する例
  • さまざまなデータの前処理
  • 分類モデル:腫瘍データの診断問題などへの応用
  • ニューラルネットワークによるファッション画像の分類
  • 開発データの重要性とモデル評価
  • POSデータのクラスタリングによる顧客分析
  • 顔画像データの主成分分析
  • ナイーブベイズ:スパムフィルタとTweet感情分析
機械学習演習Ⅱ
講義「機械学習」で学んだアルゴリズムを、Python を用いてスクラッチから実装する。「機械学習演習 I 」で機械学習ライブラリ scikit-learn を用いて、効率良く機械学習を利用する方法を習得済みであり、本演習では機械学習アルゴリズムの詳細な仕組みや動作を深く理解すると同時に、機械学習・データサイエンスにおけるコーディング技術を磨くことを目標とする。自然科学・社会科学・社会実装のさまざまな場面での応用を考え、発展的な話題も含めた次のようなテーマを取り扱う。

  • 単回帰と重回帰
  • 多項式回帰、過学習と汎化
  • さまざまな前処理 ・ロジスティック回帰とソフトマックス回帰、ランダムフォレス ト・ニューラルネットワーク
  • モデル評価、検証とテスト
  • クラスタリング
  • さまざまな多様体学習
  • 確率モデルとナイーブベイズ
深層学習演習Ⅰ
講義科目「深層学習」に対応する演習科目であり、実装されたモデルを用いて深層学習理論で学んだ内容を具体的事例に対して実践する。深層学習が実際にはどのように動作し、いかなる具体的場面で活用できるのかについての感覚を身につけることを目標とする。使用するライブラリはTensorFlow+Kerasを採用する。自然科学・社会科学・社会実装のさまざまな場面での適用を考え、次のようなテーマを取り扱う。

  • 深層学習によるモデル探索とテスト
  • 畳み込みニューラルネットによる食品画像の分類
  • 学習済みモデルの利用(InceptionResNet)
  • 転移学習による医療画像診断
  • LSTMブロックを使ったチャットボット
深層学習演習Ⅱ
講義科目「深層学習」に対応する演習科目であり、深層学習理論で学んだ内容を実装して使いこなし、アルゴリズム開発の基礎を身につけることを目標とする。「深層学習演習 I 」で学んだ内容をベースとして、より発展的な話題について実践的に学ぶ。様々な深層学習ライブラリを紹介しつつ、実装に使用するライブラリは TensorFlow+Keras を採用する。

  • さまざまな勾配降下法と正則化の性能比較
  • 過学習と汎化、検証とテスト
  • 様々な畳み込みニューラルネット
  • 学習済みモデルの利用と転移学習
  • 敵対的生成ネットワーク
  • LSTMブロックと再帰的ニューラルネットの利用
  • 深層学習の実際(並列化、GPUと消費メモリ、クラウドの利用など)
  • モデルの軽量化(蒸留、量子化)
社会モデリング演習
自然現象とは異なり、社会事象には一義的な法則は成り立たないため、捉えどころがないと考えがちである。しかし、ある前提を置くことにより、対象システム中の要素の相関関係や因果関係、数量関係などの関係性を理解することができるようになる。事例を示しつつ、社会事象をモデルとして考察し、新しいシステムをデザインする方法を学ぶ。また、前提を変えることにより問題自体も変化し、その社会事象が異なる複数のモデルで説明されることを理解する。本授業では、授業前半を講義にあて、後半では事例を具体的にモデル化し、Excelや統計ソフト、AIツールなどを使いながらシミュレーションを行う演習を行う。シミュレーションの前提や得られた結果をどのように解釈するか、あるいは解釈してはいけないのかを実例に即して演習する。
輪講Ⅰ
先端的な研究の遂行に必要となるスキルとして、専門書や英語原著論文を読む力を身につけることを目標とする。専門書や論文の内容を解説するプレゼンテーションを各受講者に課し、質疑応答を通じて、発表者としてのスキルも習得する。各指導教員の専門分野の先端的知識を身につけ、先端的研究に必要な問題発見能力を涵養することを目指す。

(村上 祐子)
人工知能の倫理、哲学を研究する上で重要となる科学哲学・数学の哲学・言語哲学・論理学の基礎文献を用いた輪講を行う。

(新田 徹、瀧 雅人)
‟The Element of Statistical Learning” (T. Hastie et al.) から数章を選び、統計的機械学習理論の基礎を学ぶ。その上で、 ‟ Deep Learning” (I. Goodfellow et al.) の数章を用いて、深層学習の理論的側面についての輪講を行う。
輪講Ⅱ
先端的な研究の遂行に必要となるスキルとして、専門書や英語原著論文を読む力を身につけることを目標とする。専門書や論文の内容を解説するプレゼンテーションを各受講者に課し、質疑応答を通じて、発表者としてのスキルも習得する。各指導教員の専門分野の先端的知識を身につけ、先端的研究に必要な問題発見能力を涵養することを目指す。

(内山 泰伸)
宇宙物理学、天文学における機械学習の応用研究に関する原著論文を用いた輪講を行う。

(大西 立顕)
統計、機械学習、社会・経済物理学、複雑系科学、複雑ネットワーク科学の手法を用いた社会・経済のデータサイエンスに関する原著論文を用いた輪講を行う。

(正田 備也)
深層学習に基づく自然言語処理およびトピックモデルの研究に関する原著論文を用いた輪講を行う。
データサイエンス実習
社会科学概論とネットワーク科学で学んだ手法を用いて、実際に社会・経済ビッグデータを分析するプロセスを実践的な実習形式で修得する。受講生が自らがプログラミングを行うことで、計算機上でデータをどのように処理し、分析手法をどのように実装するかを学ぶ。実データに基づいて実証的に分析することの重要性を認識し、領域知識を踏まえた上で結果を解釈する必要性を理解する。社会科学に限らず広く社会実装のさまざまな場面での適用を考え、次のようなテーマを取り扱う。

  • ビッグデータの基本的な取り扱い法(データ確認、置換、 抽出、検索、結合、分割、自動化)
  • ビッグデータの前処理(分布と統計量、非定常性、サンプルバイ アス、欠損、エラーデータ)
  • ビッグデータ解析の計算誤差と計算時間(丸め誤差、計算量、情 報量、アルゴリズム、並列化)
  • 金融市場データの時系列解析1(ベキ分布、ベキ指数、定常性、 自己相関、パワースペクトル)
  • 金融市場データの時系列解析2(自己回帰モデル、スケール依存 性、異常拡散、ハースト指数)
  • 金融市場データの時系列解析3(相関行列、最小全域木、偏相関 、相関構造)
  • Wikipediaのテキスト解析1(TF-IDF、共起、類似度、単語・文 書行列)
  • Wikipediaのテキスト解析2(トピックモデル、潜在的ディリク レ配分法)
  • 国際貿易データのネットワーク解析1(隣接行列、次数分布、最 短経路長、クラスター係数)
  • 国際貿易データのネットワーク解析2(次数相関、強連結成分、 ページランク)
  • 国際貿易データのネットワーク解析3(コミュニティ抽出、非負 値行列因子分解)

研究指導科目

プロジェクトチーム実習Ⅰ
(三宅 陽一郎・松下 伸行)
人工知能は基礎理論を学ぶだけでなく、その社会実装によるシステム化を通して実用化していくことが重要である。社会実装プロジェクトを遂行するためにはプロジェクトのすべての段階を経験・理解しておく必要がある。これまでに学んだAIの理論と技術を集結し、それを実践へと昇華させる技術が求められる。本実習では、社会に見られる様々な問題をAIで解決するシステムを開発する。5人程度でグループを作り、半年で1つのAI社会実装プロジェクトを推進する。「プロジェクトチーム実習Ⅱ」も合わせて受講する場合、通年で1つのプロジェクトを推進することも選択できる。AIで解決すべき課題設定、システムの設計、AIライブラリによる実装、その特性評価など、AI実装プロジェクトのプロセスを一通り経験することができる。

(村上 裕子・三宅 陽一郎・松下 伸行/4回)(共同)
各チームは AI の倫理問題の専門家(村上祐子)と倫理面の懸念事項について議論し、AI の倫理問題への理解を深める。
プロジェクトチーム実習Ⅱ
(三宅 陽一郎・松下 伸行)
「プロジェクトチーム実習 I」と合わせて受講することにより、通年でのAIプロジェクト推進を経験し、その報告書をまとめる。この報告書は修士論文に代わるものとして扱われ、複数の教員による評価によって合格と認定されることが単位取得の要件となる。「プロジェクトチーム実習 I」とあわせ、AIで解決すべき課題設定、システムの設計、AIライブラリによる実装、その特性評価など、AI実装プロジェクトの全プロセスを経験することができる。人工知能を応用するプロジェクト推進に要求される専門知識を習得することを目標とする。AI社会実装および運用のための専門的な事項について学習し、理論を実践する技術を身につけるだけでなく、適切な課題設定能力の涵養も目標とする。

(村上 裕子・三宅 陽一郎・松下 伸行/4回)(共同)
各チームは AI の倫理問題の専門家(村上祐子)と倫理面の懸念事項について議論し、AI の倫理問題への理解を深める。
特別研究Ⅰ
1年次の学生に対して各指導教員が研究指導を行う科目であり、先端的な専門知識や高度な情報収集力の獲得、そして問題解決能力やプレゼンテーション能力など総合的な研究遂行力を身につける。修士課程修了後に自ら研究を進めていくための基礎と手法を学ぶことを目標とする。各指導教員の研究テーマは次の通りである。

(内山 泰伸)
高エネルギー宇宙物理学、高エネルギー天文学における複雑な観測データに対して統計学および機械学習・深層学習を応用するデータ駆動科学研究、超新星残骸の観測による爆発的元素合成や宇宙線加速の研究、ガンマ線観測による暗黒物質の探索などを研究テーマの候補とする。データ解析をする上で必要となる観測技術や、解析結果を解釈するための宇宙物理学の理論的理解も深める。さらに機械学習によるデータ処理をオンボードで行える先端的な AI カメラ開発も研究テーマとする。

(大西 立顕)
統計、機械学習、社会・経済物理学、複雑系科学、複雑ネットワーク科学の手法を用いて、社会・経済に関する高頻度かつ高精度なビッグデータを実証科学の視点から研究する。金融市場・人間行動などの時系列データ、市場間相関・国際貿易などのネットワークデータ、店舗・不動産などの地理空間データ、ニュース・Twitter・ウェブサイトなどのテキストデータ、マウスの脳活動などのバイオビッグデータ、データ駆動型物質・材料探索(マテリアルズ・インフォマティクス)などのテーマを分析する。

(村上 祐子)
情報の哲学・倫理、とりわけ人工知能の哲学・倫理を主要な研究テーマとする。個別の関心に応じて力点を設定し、科学哲学・数学の哲学・言語哲学の分野、また手法として必須となる論理学の基本文献を学習した上で、応用倫理学、科学技術社会論の視点からケーススタディを行う。

(新田 徹)
複素ニューラルネットワークや四元数ニューラルネットワークといった高次元ニューラルネットワークの研究を行う。数理的手法あるいはコンピュータ・シミュレーションによって、高次元ニューラルネットワークの基本的性質、あるいはこれまでに知られていない特有の性質を探索的に調べる。新しい高次元ニューラルネットワークモデルを考案することも目指す。

(正田 備也)
テキストデータを中心とした大規模データを、様々な機械学習の手法を使って分析する。特に、教師なし学習を使うことで、データ集合に潜む多様性をできるだけ損なわないよう網羅的に抽出し、この抽出結果をデータに応じた個別のアプリケーションに役立てる。具体的には、トピックモデルのようなベイズ的確率モデルにおける潜在表現をデータ集合に潜む多様性のモデル化に用いる。推定計算についてはミニバッチ学習をGPU上で実行することによって大規模データにも対応できるようにする。

(瀧 雅人)
理論的研究とアルゴリズム開発のいずれかの研究課題を選択する。理論研究では、深層ニューラルネットの汎化性能や表現能力、モデルの挙動を理解するための数理的な理論・解析を調べる。アルゴリズム開発においては、CNNなどの性能を上げる、あるいは計算コストを下げるためのアーキテクチャデザインを研究する。あるいは敵対的事例(adversarial example)に対する防御アルゴリズム、深層学習の推論過程を理解可能(ホワイトボックス)にするための解釈可能な深層学習の研究開発などを行う。
特別研究Ⅱ
「特別研究 I」からの継続で、1年次の学生に対して各指導教員が研究指導を行う科目である。先端的な専門知識や高度な情報収集力の獲得、そして問題解決能力やプレゼンテーション能力など総合的な研究遂行力を身につける。修士課程修了後に自ら研究を進めていくための基礎と手法を学ぶことを目標とする。各指導教員の研究テーマは「特別研究 I」に示されている通りである。
特別研究Ⅲ
2年次の学生に対して各指導教員が研究指導を行う科目であり、先端的な専門知識や高度な情報収集力の獲得、そして問題解決能力やプレゼンテーション能力など総合的な研究遂行力を身につける。修士課程修了後に自ら研究を進めていくための土台を築くこと、あるいは修士課程修了後に社会で人工知能・データサイエンスのプロジェクトを推進するための能力を身につけることを目標とする。各指導教員の研究テーマは次の通りである。

(内山 泰伸)
高エネルギー宇宙物理学、高エネルギー天文学における複雑な観測データに対して統計学および機械学習・深層学習を応用するデータ駆動科学研究、超新星残骸の観測による爆発的元素合成や宇宙線加速の研究、ガンマ線観測による暗黒物質の探索などを研究テーマの候補とする。データ解析をする上で必要となる観測技術や、解析結果を解釈するための宇宙物理学の理論的理解も深める。さらに機械学習によるデータ処理をオンボードで行える先端的な AI カメラ開発も研究テーマとする。

(大西 立顕)
統計、機械学習、社会・経済物理学、複雑系科学、複雑ネットワーク科学の手法を用いて、社会・経済に関する高頻度かつ高精度なビッグデータを実証科学の視点から研究する。金融市場・人間行動などの時系列データ、市場間相関・国際貿易などのネットワークデータ、店舗・不動産などの地理空間データ、ニュース・Twitter・ウェブサイトなどのテキストデータ、マウスの脳活動などのバイオビッグデータ、データ駆動型物質・材料探索(マテリアルズ・インフォマティクス)などのテーマを分析する。

(村上 祐子)
情報の哲学・倫理、とりわけ人工知能の哲学・倫理を主要な研究テーマとする。個別の関心に応じて力点を設定し、科学哲学・数学の哲学・言語哲学の分野、また手法として必須となる論理学の基本文献を学習した上で、応用倫理学、科学技術社会論の視点からケーススタディを行う。

(新田 徹)
複素ニューラルネットワークや四元数ニューラルネットワークといった高次元ニューラルネットワークの研究を行う。数理的手法あるいはコンピュータ・シミュレーションによって、高次元ニューラルネットワークの基本的性質、あるいはこれまでに知られていない特有の性質を探索的に調べる。新しい高次元ニューラルネットワークモデルを考案することも目指す。

(正田 備也)
テキストデータを中心とした大規模データを、様々な機械学習の手法を使って分析する。特に、教師なし学習を使うことで、データ集合に潜む多様性をできるだけ損なわないよう網羅的に抽出し、この抽出結果をデータに応じた個別のアプリケーションに役立てる。具体的には、トピックモデルのようなベイズ的確率モデルにおける潜在表現をデータ集合に潜む多様性のモデル化に用いる。推定計算についてはミニバッチ学習をGPU上で実行することによって大規模データにも対応できるようにする。また社会実装系のテーマとして、レビューをもとにした飲食店の推薦システムの開発(ユーザが好みそうなメニューを提供する店の推薦をおこなうだけでなく、推薦される飲食店リストに多様性が見て取れるようにする)などを研究テーマとすることができる。

(三宅 陽一郎)
デジタルゲームの複雑な環境に適応するためにゲームキャラクターの人工知能は自律的なものへと変化している。ゲームキャラクターの意識モデルとして、「C4認識アーキテクチャ」と呼ばれるアーキテクチャが多数のゲームタイトルにおけるキャラクターの人工知能に適用され、サブサンプション・アーキテクチャ、新しい意思決定アルゴリズム、学習システムなどを内包しながら発展している。ファイナルファンタジーXVでの実例に基づきながら、ゲームキャラクターの人工知能について研究する。

(松下 伸行)
Amazon Go の自動精算のように AI カメラを活用した新しい流通・小売(リテール)のシステムの開発が現在、注目を受けている。数百台の AI カメラを店舗に導入して進めた先駆的な実験に基づきながら、画像認識エンジンの開発や検証を研究テーマとする。

(吉川 厚)
人工知能(機械学習、テキストマイニング)を用いて様々なデータに隠れている規則性や法則を発見し、これらの結果を社会シミュレーションへ適用する研究を行う。また、過去の事実であるケースをビジネスゲームの仮想環境上で擬似的に再現し、学習者がリアリティ感を持ちつつプレーすることによって、学習主題のより深い理解を得ることを目的とした意思決定学習法の研究を行う。

(瀧 雅人)
理論的研究とアルゴリズム開発のいずれかの研究課題を選択する。理論研究では、深層ニューラルネットの汎化性能や表現能力、モデルの挙動を理解するための数理的な理論・解析を調べる。アルゴリズム開発においては、CNNなどの性能を上げる、あるいは計算コストを下げるためのアーキテクチャデザインを研究する。あるいは敵対的事例(adversarial example)に対する防御アルゴリズム、深層学習の推論過程を理解可能(ホワイトボックス)にするための解釈可能な深層学習の研究開発などを行う。
修士論文指導演習
2年次の学生に対して各指導教員が研究指導を行う科目であり、先端的な専門知識や高度な情報収集力の獲得、そして問題解決能力やプレゼンテーション能力など総合的な研究遂行力を身につける。特に修士論文を執筆することで、論理的な論文の構成力、文章作成技術の指導を行う。修士課程修了後に自ら研究を進めていくための土台を築くこと、あるいは修士課程修了後に社会で人工知能・データサイエンスのプロジェクトを推進するための能力を身につけることを目標とする。各指導教員の研究テーマは「特別研究Ⅲ」に示した通りである。